手絞り技法の展開を模索する
伝統的な金属の加工方法の一つに、一枚の平らな金属板を当て金という鉄の道具の上に乗せ、槌で何度も打ち叩くことで立体に変形させる、手絞り技法があります。
槌で叩き続けることで、徐々に変化していき、その過程で様々な表情をみせる金属の面白さや不思議さにひかれて、この技法の展開を模索して制作をしています。
何千回、何万回と金属を叩き続ける、こつこつとした作業を繰り返す中から、金属の魅力的な表情を見つけていきたいと考えています。
手絞り技法について
金属の性質である、展性(薄く広くする事が出来る性質)と延性(引き伸ばす事の出来る性質)を利用し、1枚の平らな金属板を、金鎚と当て金を使い打ち絞ることで、変形させ、立体を成形する技術を、手絞り技法と呼びます。
また、手絞り技法を鍛金とも呼びます。
手絞り作品の材料
自身の作品では主に銅を使っていますが、一般的には、銅、真鍮、アルミ、金、銀、鉄などが材料として使われます。
手絞りの道具
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金鎚
金属板をたたき、変形させるために使用します。制作物の形に合わせて、使い分けます。 |
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木台
欅の台で、直径45cm×高さ40〜20cmがあり、当て金を立てる台として使用します。 |
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当て金
木台の上に立て、金鎚で金属板を打つ時に、金属板の下に、当て金の面がくるようにし、金属板を思いどおりの曲面に成形するために使用します。 |
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木台と当て金
木台に当て金を立てて、使用します。 |
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バーナー
金属は1度たたくと硬化するので、手絞りが出来るように焼き純し、金属板を軟らかくするために使用します。 |
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その他
やすり、鋏なども使用します。 |
制作の基本的な流れについて
1)地金取り
出来上がりの作品の寸法から逆算して、材料の金属板から必要な金属の形を切り出す工程。
2)焼き鈍し
バーナーなどの熱を使い、金属を加工できるように軟らかくする工程。
3)絞り加工
金鎚と当て金を使い、平らな金属板を器のような立体形に成形する工程。
作業途中で2)の焼き鈍しと打ち叩く事を何度も繰り返します。
4)均し
形と、表面の肌を整える工程。
5)仕上げ
磨き、着色、コーティングなどの表面処理の工程。
6)完成
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